2011/08/01 11:53:44
北海道開拓使
わが国における近代的土地制度は明治維新の諸変革により封建的支配
の排除と土地私有権の確認によって確立された。すなわち,明治4年の
廃藩置県,明治5年の地所永代売買の解禁,地券制度の創設,明治7年
以降の主地官民有区分によって達成されたのである。
北海道でも当然これらの変革は行なわれたが,行政上の特殊地域であ
ったため,府県とは異なる法規によって異なる時日に行なわれた。
しかも単に時日と法律制度が異なっただけではなく,その過程が府県と
は巽なる重要な差異を持っていた。
それは次の3点に要約することができる。
第l 維新後大部分の土地は新しい制度の下では官有地に所属すべき
ものとなり,無主地国有の原則が北海道の大部分の土地に適用
され,そこに国家的土地所有の単一形態が容易に形成された。
第2 明治以前の北海道では農民による土地所有は極めて少なく、明
治政府の官有未開地の処分と殖民地選定区画事業によっで新た
に形成されていった。
第3 明治政府ははじめ官有未開地の農牧植樹適地は私有に移す方針を
とり、小農扶殖の目的から設けられた処分面積の制限は,その後
の開拓政策の転換から漸次ゆるめられて,我が国に未だかつてそ
の例をみない大土地所有を生んでいった。
府県における近代的土地制度確立の過程が封建的土地所有関係の改革
として行なわれたのに対し,北海道ではこうした関係は極めて小部分に
すぎず,大部分の土地は無主地とみなされるべきものであり,むしろ新
しい土地所有権の創設の過程であった。
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