北海道内のおもな義経伝説 5
⑤岩内町 <雷電岬>
義経はアイヌの襲撃に遭うが、神罰と悟ったアイヌの人々は介抱し、
メヌカという娘が熱心だった。義経出発の朝――
「雷電」の地名は、「らいねん」?(岩内町、雷電)
義経一行は、雷電の険しい山間で当時のアイヌの首長チパの襲撃に遭い、
囚われの身となってしまいました。
勝利をおさめたアイヌの人々が、祝いの席を開こうとした時のこと。
突然祭壇の"イナウ"が倒れてしまいました。
これは、 義経を捕らえた神罰と悟ったアイヌの人々は、 一行を手厚く介抱することにしました。
傷も癒え、やがて春が来て、旅支度を始める義経一行。
そんな光景を目に涙をいっぱいためて見守る少女がいました。
チパの娘、メヌカです。 義経を介抱するうち、いつしか恋が芽生えていたのでした。
とうとう出発の朝がきてしまいました。
泣きくずれて別れを惜しむメヌカを慰めて義経は 「来年はきっと帰る、それまでの別れだ」と告げました。
「来年まで待っているわ」。 二人の交わした最後のことば"らいねん"がいつからか「雷電」の
地名になったということです。
弁慶を慰めた雷電の海刀掛岩 (岩内町雷電・国道沿い海側雷電岬)
義経一行の中で力持ちの弁慶は、いつも頼り甲斐のある存在でした。
雷電まで来た一行がちょっとひとやすみした時のこと。
いつもは片時も離さない刀ですが、 弁慶は近くの岩をちょいとひねって刀を掛け。
いつしかこの岩を「刀掛岩」、 この岬を「刀掛岬」と呼ぶようになりました。
また、一行が雷電にしばらく滞在している間、 弁慶はしばしば磯釣りを楽しんだそうです。
そんな時も刀掛岩がおおいに役立ったということです。
武器や財宝が眠っている?不落の洞窟 (岩内町雷電・刀掛岩の横)
刀掛岬を海伝いに船で南に回れば、
どこまで続くかわからないような洞窟があります。
内部の高さは約16m、幅4m、広いところでは20mほどで、 奥行きは約80m位まで確認されています。
以前迷って入った犬が寿都で発見されたことから、
洞窟は寿都までつながっていると言われています。
洞窟へは、船で渡るルートしかないため、 義経に関係のあったアイヌの首長チパが
武器や財宝を隠したという伝説が残っています。
刀掛岩の近くですから、弁慶が財宝の見張りをしていたのかもしれません。
また、この底しれない穴は「また来年」と言って 義経と別れたアイヌの娘メヌカが、
戻らぬ義経に失恋、 投身自殺をしたところとして「悲恋の穴」とも呼ばれています。