2012/12/10 10:21:28
国道229号 22 乙部町その1
現在、国道229号には「豊浜トンネル」が二箇所ある。
一つは、余市と古平を結ぶ「豊浜トンネル」だが、もう一つが
熊石と乙部町を結ぶ豊浜トンネルである。
乙部の豊浜トンネルも悲惨な事故の歴史がある。
繰り返してきたが、この国道229号は海に面した断崖絶壁
が連続し、全通したのもそれらを迂回する長大トンネルが完成
したからである。(平成8年まで待たなければならなかった)
二級国道から一般国道229号に指定されたのは昭和40年の
ことだが、本格的な整備は明治20年代の半ばに始まり、区間
ごとに整備されている。
当時のルートは現在でいうところの「旧旧道」にあたる。
大正8年には準地方費道「江差岩内線」に指定され、戦前まで
部分的な改修が各所になされた。
戦後、昭和25年から26年にかけて、乙部側から順に豊浜1号から
豊浜8号までの8つの隧道となり、現在でいうところの「旧道」が完
成している。
昭和28年には二級国道「江差小樽線」に指定された。
事故が起きたのは昭和37年10月17日午前10時45分頃のことである。
豊浜3号隧道と豊浜4号隧道の間の「明かり区間」において、土砂量
350万立方メートルにもおよぶ巨大な山津波が発生し、たまたまそこ
を通行していた路線バス(函館バス)と警戒に当たっていた開発建設部
の職員を飲み込んで、海になだれ込んだ。
この事故により、死者11名、行方不明者3名を出す大惨事となった。
事故を受けてルート変更が検討され、昭和48年、事故現場を含む
危険箇所を大きく迂回する豊浜トンネル(延長1270メートル)が開通し、
事故現場と昭和20年代に完成した8つの隧道は廃道となった。
(バスは現在も大量の岩塊に埋もれたままである)
(写真は、館の岬<たてのさき> 東洋のグランドキャニオンとも呼ばれている)
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