2013/01/09 08:28:05
十勝国(とかちのくに) 23
海路を選んだ人たち
海路で大津港に向かった一行も容易な船旅ではなかった。
函館から船に乗った11名は、日光丸が風帆船で出帆して6日目、
海がないで進まず、幌泉(襟裳)の入江に寄った。
襟裳岬でさえぎられた潮流が複雑な渦となり、この岬特有の
強烈な突風が吹き始めた。
上陸しろと叫ぶ者、船から飛び降りかける者と、船の上は修羅場
となった。決然と錨綱を切って帆をあげた船長の英断がなければ、
船はこなごなに砕けていたという。
結局、11名は猿留(今の黄金道路)で船を降り二手に別れ、海づ
たいに大津を迂回し、アイヌ人に支えられて5月14日にたどり着いた。
一ヶ月の旅だった。
海路を選んだメンバー
・渡辺勝 晩成社幹部
・山本初二郎(48) 農商・炭焼
妻トメ(46) 長男金蔵(13) 次男新五郎(6)
・土屋広告(24) 農業
・山田彦太郎(32) 農商 農業
妻セイ(27) 長男建治(4) 次男扶治郎(1)
・高橋金蔵(52) 農業
4月11日に函館に27名が到着してから、帯広に全員が揃ったのは
40日後の5月20日だった。
(写真は、襟裳岬の百人浜)
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